e環境の進展とSCMの進化
=SCMの過去・現在・未来=
(第一部「過去」編)

ビジネスモデル学会ハワイ・コンベンション資料

2001年5月28日
ビジネスモデル学会SCM研究会座長(Nixシステム研究所代表)吉原賢治


本論は、吉原先生がビジネスモデル学会2001年ハワイ・コンベンションで発表されたppt資料に、コメントノートを付けて頂いたものです。ボリュームの関係で、全編を3部に分けて掲載しました。第二部、第三部は、下記の目次のをクリックしてください。

目  次

 はじめに

 1.これまで(
過去 
 1−1.ロジスティクスの進化 
 1−2.サプライチェーンの源流 
 1−3.サプライチェーンの成立要件 
 1−4.LE、IE、ITのクロスポイント 
 
 2.いま(現在) 
 2−1.SCMとは 
 2−2.SCORメソドロジ 
 2−3.大企業サプライチェーンの進展 
 
 3.これから(未来) 
 3−1.ビジネス・サプライチェーンの多重化 
 3−2.シアーズの挑戦 
 3−3.生活SCM時代の到来 

はじめに

 本日はSCMの進化に関して私が見ている展望について、約1時間お話いたします。全体の流れはこの目次に沿って過去・現在・近未来に大別してお話いたします。まず最初に、これまでのトレンドを20世紀(100年)で見てみます。

1.これまで(過去)



◇私は1995年に情報型ロジスティクス構築論と題する「読めば途中でいやになるような本」をNTT出版社から出しました。その冒頭にこの絵が出てきます。
◇この絵は、20世紀のロジスティクスインテグレーションの発展過程を3つに分けて見ています。
◇そして21世紀新産業連鎖期(ニュー・インダストリー・チェーン)が4つ目に続くことになります。
◇このスライドは、細かすぎて見にくいので、次のスライドは大写しにしてありますので、そちらで説明しましょう。



◇この図のタテ2列目にある事業システム・コンセプトの進化過程を見てください。
◇T型フォードのコンベアシステムに端を発して、生産プロセスのパイプライン化が進行していきます。
◇1930年から1980年までの50年間は、企業内パイプライン化に始まって企業間パイプライン化へとコンピュータによってインテグレーションが進行しました。
◇しかし、1980年までは生産プロセスのインテグレーションでした。
◇その仕上げが見えざるパイプラインJITです。即ち、生産主導ビジネスモデルの典型です。
◇そして、1980年代に入って1つの転機を迎えることになります。



◇それは物あまりによる生産主導から消費主導型へ、ビジネスモデルの転換です。
◇1980年から1990年に至る10年間は、ITの活用による消費起点の垂直統合企業モデルがSISの典型になりました。花王、トステム、ベネトンのシステムは有名です。しかし、SISは模倣追随組の多くが挫折しました。
◇1990年代に入って、製販直結の企業間システムがQRシステムとして登場しました。中でもウォルマートとP&GのQRは有名です。
◇その後、1994年、カートサーモンの主導によって米国の食品業界の製配販3者連結ビジネスモデルが動き出しました。これをECRといいます。これはウォルマートの一人勝への挑戦でした。競争があったからこそ、ECRが成立したのです。
◇これが目に見えるサプライチェーン・モデルの始まりです。



◇ところで、サプライチェーンのコンセプト原点を辿ると、マイケル・ポータのバリューチェーン・コンセプトに到達します。(1982年)
◇この図は彼の名著(Competitive Advantage)のカバーに書かれたイラストに私が加筆したものです。
◇実は、1997年に設立されたSCCのSCORモデルは、この中の3つの連鎖に焦点を当てています。端的にいって、ロジスティクスプロセスです。このIT化モデルがSCORです。
◇VMI/CRPはマイケル・ポータ時代にはありませんでした。企業間のボーダーレス化です。
◇今日でもVCはトータルビジネス・モデルの原型といえます。



◇さて、ここらでサプライチェーン成立の要件は何かを整理してみましょう。
◇第1項にSC形成の主たる要件として3つをかかげました。
◇しかし、これのキーワードは消費主義とITの2つです。
◇だが、これだけではサプライチェーンは実現できません。
◇SC実現は、プロセスインテグレーションとコラボレーションが必要で、根底には相互信頼と運命共同体の覚悟が不可欠です。いわゆるパートナーシップです。
◇いわばVISAなしで入出国できる国家同盟が前提となります。



◇ここらで今日の経営モデル競争の基本技術の流れを見てみましょう。
◇このスライドは、私の40年間のコンサルタントの実感で、今日の経営進化技術を俯瞰したものです。
◇200年の歴史を持つミリタリーロジスティクスに端を発した(物の技術)としてのロジスティクス・エンジニヤリングは100年の歴史をもつ(人の技術)としてのインダストリアルエンジニヤリングに合流して(LE+IE)の融合によって、プロセスインテグレーションの原動力となったと考えています。
◇IEは、その後10年の歴史しかない情報技術(IT)と合体して、BPRに転化しました。
◇そして、LEがITと合流して、SCMになったと見ています。
◇さらに(LE+IE+IT)の3つのビジネス技術はこれから先、マーケティングを実現するための(BME)に結集すると考えています。