新ビジネスモデル論

本論は、未発表論文を当研究室に掲載するものです。
本稿の著作権は筆者の岡田英明に帰属し、無断での転載や引用は禁止いたします。

2001年8月 岡田英明
(株)NIXシステム研究所 コンサルティング・パートナ


1.はじめに

 現在の企業は、超競争時代にあって、生き残りをかけた経営戦略や事業の効率化に終わりの無い努力を傾注している。既にBPRやコスト削減の努力は怠りなくやってきた。しかし、それで終わっては生き残れない時代にある。大企業たりとも壊滅することが現実となっているからである。
 終わりの無い経営努力に、新たな可能性をもたらしたのが、情報技術である。情報技術の進歩によって、経営戦略や事業の効率化の余地や、新しい戦略の可能性が増えてきた。その隙間を放置しておくと、競争相手がすばやく入り込んできて、競争優位が瞬く間に消滅する。一時たりとも休むことを許されない、厳しい戦いである。
 情報技術によって商習慣というものの意味が次第に無くなり、ビジネスプロセスが柔軟にダイナミックに動いていく中で、自企業が他企業に比べてユニークな戦略を持つことが出来るのは、市場に対する「レスポンスのスピード」である。
 市場に対する「レスポンスのスピード」を確実にするには、企業が顧客に対して持っているレスポンシビリティとプロアクティビティを強くすることである。ただし、ここで注意しなければならないのは、企業と市場との関係が、市場中心(Market Centric)に変わってきたことである。すなわち、「レスポンスのスピード」は、企業が用意する「レスポンスのスピード」ではなく、市場が要求する「レスポンスのスピード」でなければならない、ということである。別な表現をすれば、従来の「レスポンスのスピード」は、バリューチェーンのリードタイムを限りなくゼロにすることであった。しかしこれからは、顧客から見たバリューチェーンを考えなくてはならない。顧客から見たバリューチェーンは、いくつかのサプライヤ(企業など)が持っているバリューチェーンの中から1つを選択(ポートフォリオの選択)するという構図になる。サプライヤ(企業など)は、顧客のポートフォリオ上に載せられること、そこから選択されること、という考えで、自社のバリューチェーンを組み立て直さなければならない。

企業のバリューチェーンには、広義にとらえれば複数のステークホルダーが存在していて、それぞれのステークホルダーの求める価値は違ってくる。ステークホルダーの求める価値は、大きく分けて
 
 情報
 マネー
の3つがある。ビジネスモデルとは、ステークホルダーの要求に応じた価値のデリバリーが出来るバリューチェーン、すなわちビジネスモデルを作ることである。そのための方法を考える。

2.アーキテクチャ

 まずアーキテクチャを定義しておく。アーキテクチャとは、
  『システムが置かれている環境の中で、システムの高次元のコンセプトのことを言う(IEEE)』
と定義すると同時に、
  『「コンセプト」という言葉は、実用的には特別に有効ではないので、「アーキテクチャ記述」を「アーキテクチャ」とは区別して使うことにする』
としている。

 アーキテクチャ記述とは、
  『システムのアーキテクチャを伝えて、それを記録するための手段としてのモデル(形式)である(IEEE)』
と定義する。アーキテクチャ記述は、システムが、「エンジニアリング的管理下」でもたらされるものであることを明示するものである。また暗に標準を前提にしている。
複雑な対象を扱うときには、いくつかの視点を明確にすることで、その視点から見たシステムの表現の集まりとして考えるものである。その視点の切り口は、それに関心のある利用者によって決まるもので、利用者が違えば、視点も違う。

 一般的な視点は、
 行動的、動的、処理の視点
 データ、データフロー、情報の視点
 開発、メンテナンスの視点
 分散、ネットワーキングの視点
 機能の視点
 論理的視点
 静的視点
 物理的視点
というのが考えられる。どの視点を取るかは、アーキテクチャ設計者が決めることである。

当該論文では、断りが無い限りは、アーキテクチャ記述を、省略してアーキテクチャと書くことにする。

 3.ビジネスプロセス・アーキテクチャ(経営活動空間モデル

 企業活動の中心である経済的取引のプロセスには、1つは物理的に実在する物やサービスの流れがあり、もう1つはその流れを発生させるための取引の発生、取引契約、取引の完結、取引の金銭の請求、支払い決済、会計的情報処理といった、情報と金銭に関わる情報の流れがある。金銭の流れは、情報技術の進歩によって、その多くがサイバー空間で処理されるようになり、その多くが物やサービスの流れとは同期はせずに、しかも短時間(コンピュータ時間)で進行するようになった。前者を実空間プロセス、後者をサイバー空間プロセスと呼ぶことにする。企業経営活動空間は、この両方を同時に持つ。
 企業経営活動空間でのビジネスプロセスのアーキテクチャを、図1のように定義する。一般に企業経営活動が持っているビジネスプロセス(バリューチェーン・モデル)は、2つのプロセスで構成される。

  実空間プロセスでは、物理的に存在する物やサービスの流れは、情報技術の進歩に直接影響を受けないので、プロセスの中にある物理的な場所の移動、物の加工、製造処理などには、必要となる実時間があって、また物が流れには手順が決まっていて、それ以外では実空間プロセスを完結することは出来ない、という強い制約がある。しかしサイバー空間プロセスにはそうした制約はない。 



















   実空間プロセスは、物理的に物やサービスを扱う個々の業務(業務機能とか作業工程と呼ぶ)と、それらの業務が繋がった流れを持つプロセスである。
 サイバー空間プロセスは、金銭の関わる会計的情報の処理のようにプロセスを持っているものと、サイバー空間プロセスには、実空間プロセスをサイバー空間に写像して、実空間プロセス監視し、コントロールするために机上に用意されたプロセスが含まれる。近年の経営情報システムの充実は、コンピュータや通信ネットワークを使ったサイバー空間プロセスを実時間で実空間プロセスに同期させることによって、全体的な経営管理と部分の経営活動とを同時に監視、コントロールできることを可能にしたといえる。サイバー空間プロセスは、経営管理空間であるとも言える。
 従来の経営戦略にはバリューチェーン・モデルを使った。われわれは、バリューチェーンを戦略に必要な概念モデルとしてだけではなく、日常の経営活動そのものをコントロールできるビジネスモデルとして考えたい。

 実空間プロセスとサイバー空間プロセスを詳細に見ていくと、それぞでが3つの層別化されたモデルになっている。
 実空間プロセスを考えよう。そこには、
  ・物(マテリアルズ)プロセス
  ・非物プロセス(マネー、情報などに関わるプロセス)
  ・プロセス起動アクティビティ
の3つの層が考えられる。

  物(マテリアルズ)プロセスは、物理的な物を扱う経営活動プロセスを言い、ロジスティックスや製造や配送物流などの決められた一連の経営活動の流れである。
 非物プロセスとは、物理的な物は扱わない経営活動プロセスを言い、販売した物の代金を回収する、毎月の経理処理と決算処理をする、予算を作成する、といった一連の経営活動の流れを持ったものである。
 プロセス起動アクティビティとは、一連のビジネスプロセスが動き出すきっかけとなる指図を出す行動で、入ってきた注文をロジスティックス部門へ指図する、製造の指図をする、出荷の指図をする、計画を示す、といった経営活動(業務)を言う。
 それぞれを、M1プロセス、M2プロセス、M3アクティビティと呼ぶことにする。

 こうした3つのプロセスは、バリューチェーンのプロセスであって、プロセスが生み出す価値を受け取るステークホルダーが存在する。








 

 

次にサイバー空間プロセスを考えよう。サイバー空間プロセスモデルは、実空間プロセスモデルの写像と考える。写像のドメインあるいは要素は、実空間プロセスモデルから定義される情報セットである。情報セットが定義されない経営活動は、写像されない。このことは本論文の特徴的なことである。
 サイバー空間プロセスモデルも、実空間プロセスモデルの3つの層別化したプロセスを引き継いだ写像になる。サイバー空間プロセスモデルは、情報セットという方法を使って定義される。
  ・物(マテリアルズ)の情報セット
  ・非物プロセス(マネー、情報などに関わるプロセス)の情報セット
  ・起動アクティビティの情報セット
それぞれを、M1情報セット、M2情報セット、M3情報セットと呼ぶことにする。M1情報セットは、M1プロセスとは完全同期という強い制約条件を持っているが、M2情報セット、M3情報セットはそのような制約がない。 

 最近の経営は、経営の変化のスピードと情報技術の変化のスピードとが相互に干渉し合うようになり、経営活動のシステムを変化に応じて迅速にメンテナンスすることが複雑になる傾向にある。経営の変化によって変更を余儀なくされる実空間プロセス(M1プロセス)は、いまや日常的になっている。また、新しい情報技術によって、実空間プロセスを変えることで競争優位に立つこともあり、また一方で新しい情報技術によって新たな競争相手が市場に出現することから、それに備えて実空間プロセスの創造や変更を、いかに迅速に柔軟に考えるかが重要である。
 従来の経営情報システムは、物(マテリアルズ)プロセスも非物プロセスも、あるいは経営活動の結果の情報整理するだけのシステムも、一括して考えてきた。そのために、経営活動の一部分が変化しても、全体に影響を及ぼし、システムを変えることが困難であった。変化が定常化して、変化に迅速に対応することが不可欠になってきたから、企業活動の変化に迅速に対応できる経営活動の仕組みにすることが重要になってくる。それには「分割と統治」という考え方を持ち込む必要がある。経営活動の仕組みを、可能な限りプロセスとして意味のある状態にまでに分割して、企業活動の変化を、分割した1つのプロセスの中で閉じ込められるようにすることである。変化の影響を部分にとどめて、他との干渉を避けなければならない。
 非物プロセス(マネー、情報などに関わるプロセス)の情報セット(M2情報セット)が持つプロセスには、コンピュータの中で処理にかかるコンピュータ時間を除けば、プロセス時間というのは、瞬時に処理されると考えてよい。
 M2情報セットの中の情報(トランザクション)が処理されるタイミングは、M1情報セットの中の各トランザクションの発生時間によって決まる時間である。すなわちM1情報セットが決まれば、M2情報セットは、M1情報セットのプロセス時間が決める情報のタイミングだけが制約となる以外は、自由に設計できる。M1情報セットとM2情報セットとの従属関係は、以前には考慮されずに同一のレベルの中で同時に設計され、構築するものだと考えられてきた。しかし、M1情報セットとM2情報セットとは設計の条件が明らかに違うものである。
 サイバー空間プロセスモデルは、実空間プロセスモデルの写像である。写像のドメインあるいは要素は、実空間プロセスモデルから定義される情報セットである。情報セットが定義されない経営活動プロセスモデルを必要とはしない。 

4.情報セット 

 ビジネスプロセス・アーキテクチャを誘導するのは、情報セットという考え方である。中西は、データ中心の情報システムに情報セットという概念を持ち込んだ。情報セットとは、トランザクション情報を、その情報の関係に着目して、一連のシケーンスを持った関係を形作るトランザクション情報の集合を言う。
 それをさらに展開して、情報セットを、制約する条件の強さによって2つの情報セットに分けた。
  M1情報セット
  M2情報セット
 情報セットの特徴は、企業活動など組織の活動によって新規に生成される情報(トランザクション)であるということである。企業活動など組織の活動のなかで扱われる情報は多数あるが、その中には既にデータベースに蓄積されている情報を取り出して、その情報を処理して使うだけのものも多い。情報セットは、あえてそうした情報とは区別されるものである。
 M1情報セットは、物(マテリアル)の流れとそれを扱うプロセスに従属するという強い制約を持っている情報セットである。物の流れが変われば、情報セットは変わる。

  M1情報セットの抽出は、プロセスの中の1つの経営活動機能(業務機能あるいは作業工程)で、そこに投入された物(マテリアル)と産出された物(マテリアル)との間に会計的なマテリアルバランスを必要とするときに、それらをM1情報セットの要素となるトランザクションとして取り出すことによって行われる。

情報セットの記述は、図のように行なう。












 


典型的な製造プロセスでのM1情報セットは、部品構成表を右に倒して情報セット図になる。

  M2情報セットは、物(マテリアル)の流れとそれを扱うプロセスに独立して、情報の発生時間にのみ従属する。また、M2情報セットを扱う経営活動プロセスと完全同期である必要はない。コンピュータ時間では情報には時間差があるが、ビジネス時間では、ほとんど同時に処理されるトランザクションであるから、情報セットはデータベース上にあれば、利用者の作業スケジュールに合わせた経営活動プロセスを自由に組み立てられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








5.実空間プロセス  M1プロセスモデル 

 実空間プロセスモデルを決める経営活動プロセスを考えよう。経営活動プロセスの1つの単位(プロセスユニット)をモデル化して考えると、図のように定義することが出来る。プロセスユニットは、2つの経営活動機能(業務機能あるいは作業工程)が上流、下流の関係で繋がって、経営活動プロセスの基本的な要素をなす、プロセスの基本モデルと定義する。これをビジネスプロセス・メタモデルと呼ぶことにする。
 経営活動プロセスは、ビジネスプロセス・メタモデルが直線に結合したか、あるいはネットワークに結合したものと考える。

 ビジネスプロセス・メタモデルには、3つの時間要素を持っている。
  経営活動機能(業務機能あるいは作業工程)が1つの処理を完結するまでの固有プロセス所要時間Ti
  活動単位がある一定期間に繰り返される処理数を表すプロセス固有サイクル時間ti
  活動機能が結合するときに、それぞれの活動機能の処理能力の違いによって結合に時間が発生する、非同期プロセス同期化時間τi
 物理的に存在する物やサービスのための経営活動プロセスの流れの場合は、3つの時間要素が存在し、物理的に存在する物やサービスによって、また活動機能単位が持っているファシリティ(機械設備や人的要素)によって決まる固有の時間要素である。

 

 金銭の経営活動プロセスの流れでは、最近の情報技術の進歩で、時間要素τiTi、tiは限りなくゼロに近い。

 固有プロセス所要時間TIは、プロセスユニットが持っている処理能力のパラメータで、ロット処理の場合には、ロットサイズ依って決まる1サイクルの時間である。製造設備など、製造加工のロットサイズが、加工能力と品質のために特定の閾値を持っていてロットサイズを自由に変更することが出来ない場合がある。この場合には、固有プロセス所要時間TIは。
全体のリードタイムT は、2つの工程の結合状況によって決まる。

 メタモデルの結合は、
  ・タイト・カップリングか
  ・ルーズ・カップリングか
が考えられる。しかし、2つの工程の結合は、情報フローからは決まらない。物のフロー、品質という「物」によって制約される条件や、工程の処理能力、設備のロットサイズ、MTBFといった工程が持っている制約と、ステークホルダーから要求されるフレキシビリティによって決まるものである。

ビジネスプロセスは、入れ子構造である。ビジネスプロセスの時間最適化やコスト最適化は、カップリング、インテグレーティング、ビジネスプロセスを構成する各工程の特性によって、最適化には限界がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



6.
実空間プロセスモデルの動的変化
 

 ビジネスプロセスの理想モデルは、

 

 

 

 

 

 

 現実には、全体のリードタイムは有限の時間を持っている。

 

 

 

 

 

 

 市場中心の競争時代では、製品の品質や価格はもちろん競争の要素であるが、製品のデリバリーのスピードが重要な競争要素である。ビジネスモデルがもつ全リードタイムが如何に短いかが競争になる。プロセスの出口で、製品の在庫を持って、擬似的に顧客から見たときに全リードタイムがあたかもゼロに見せることは出来る。しかし、この時には在庫という経営コストが必要になるし、特に製品の寿命が短い場合には、売れ残りと言うリスクを負担することになる。
 近年は、デリバリー・リードタイムよりも顧客の調達リードタイムが短くなっているので、企業側はデリバリー・リードタイムを短縮するために、さまざまな手段をとっている。

 

  デリバリー・リードタイムから顧客の調達リードタイムを差し引いた差を、デリバリー・スラック時間(単にスラック時間と呼ぶことにする)と定義しておく。スラック時間が正の数であれば、企業側にデリバリーの余裕時間があることになる。スラック時間が負の数の場合は、顧客を待たせるか、あるいはスラック時間に到着するであろう顧客の需要に相当する製品の在庫をあらかじめ持って対応するか、の方法を考えることになる。製品需要が短くなると在庫が不良品となるリスクが大きいので、プロセスを改革してデリバリー時間の短縮する方法を考える事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デリバリー時間の短縮する方法には、プロセスのモジュール化、プロセスのコンカレント化といった方法を積み重ねることによって行なう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 しかし、最近ではもっと劇的な方法で、プロセスを革新する。
 たとえば原材料調達購買プロセスを考えよう。
 従来の調達購買プロセスの流れは、購入依頼部門から購買部門、サプライヤへと情報の流れに従って業務があり、さらにサプライヤから購入品と情報とが購買部門へ渡り、その後に購入依頼部門へ購入品は払い出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 この調達購買プロセスを、新しい調達購買のための「eマーケットプレース」を使って切り替えたとすると、購入依頼部門から購買部門、サプライヤへのプロセスは完全に変わってしまう。
 SCMプロセス」である「eマーケットプレース」は、商品の電子的市場(いちば)である。そこには商品を売る者と買う者とが集まってきて、相互に商談をする。商談が成立すれば、取引が行なわれる。これらをすべて電子的に行なう。「eマーケットプレース」を使うと、調達発注のビジネスプロセスを大きく変えてしまう。もちろん、デリバリー・リードタイムは大幅に短縮する。

7.サイバー空間プロセス  M2プロセスモデル

  既にデータベースに記録されているトランザクションの扱いかたに2つの種類がある。
  トランザクションがブート情報となって、M2情報セットを作り出す
  トランザクションを加工、集計して、目的の会計情報を作り出す 

 会計プロセス・インタラクションは、ソフトウェア空間で処理プロセスが進行して、ブート情報を投入すること以外は実世界からの制約を受けることはない。M2情報セット、目的の会計情報をソフトウェアの外へ取り出して、視覚的に見るのは、情報を見る人が自由に決められる時間で可能である。物プロセスがプロセスを重視するのに対して、会計プロセスでは、プロセスを構成する経営活動機能(業務機能あるいは作業工程)で処理される内容が重視される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.あとがき

  企業のサバイバルが極めて厳しい状況の中で、企業は可能なビジネスモデル革新を追求する。その革新は1つの企業の中でのビジネスモデルの革新にとどまらない。1企業の枠を越えたビジネスプロセスを革新する方法も俎上に上がる。
 ビジネスプロセスの革新の方法が決まれば、それを迅速に実行に移さなければならない。ビジネスプロセスの革新が迅速に実行に移されるには、ビジネスプロセスが組み替えられるように整理されている必要がある。現実には、企業の合併や協働を経営戦略で決定した後に、それを実行に移すまでに多くの混乱が起こっている。それは、ビジネスプロセスを、管理の視点でしか考えていなかったからである。すなわち組織機能の繋がりと流れをプロセスとしていた。しかし、ビジネスプロセスを、そこを流れる物やサービスといった事業の対象を中心において考えるなら、組織機能というモジュールとは違ったプロセスのモジュールが見えてくる。このモジュールには、変えることが出来ないものと、他の方法に変えることが出来るモジュールとがある。
 こうしたビジネスプロセスのリデザインをすることによって、将来に起こるであろうプロセスの革新の実行を容易にする。

本論文は、その方法論を考察する第一歩と考えている。ψψψ

2001年8月30日 岡田英明
(株)NIXシステム研究所 コンサルティング・パートナ