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日本型サプライチェーン経営への挑戦
=キャッシュフローを生む組織への変革=
福島美明編著
SCM研究プロジェクト著
日本プラントメンテナンス協会発行
本稿は、故福島美明氏の企画編集により、SCM研究プロジェクト活動の成果をまとめる形で出版した「日本型サプライチェーン経営への挑戦」(1999年3月日本プラントメンテナンス協会刊)からの抜粋・紹介である。
前書きを改めて読み返してみると、当時のIT好況に裏打ちされた米国企業の快調ぶりと、それを手本として「再生」の流れを作ろうとしていた(現在もその努力を続けている)日本企業の姿が浮き彫りに見える。そして、その「流れ」を本物にしようとして「懸命に走」っている福島さんの姿・・・。
たった、2年前である。この間に米国のITバブルもはじけてネットビジネスの統合、店じまいは連日のようだしNASDAQ銘柄も続落の呈である。先日はデルに追い抜かれたコンパックとHPとの大合同が発表されたりもしている。日本は最早そのような米国の影響を言い訳にしている事は許されず、不良資産の問題も、デフレスパイラルも、構造改革(官民挙げた業態転換)も、・・・自らの責任と努力で打開していくしかない状況に立ち至った。このような中で、SCM(サプライチェーンマネジメント)の基本に立ち返ってみる事は、これからも変革を遂げて脱皮を図らねばならない日本の企業経営にとって大いに有効であろう。
そんな思いから本書を改めて紹介することにした。今は福島リーダーもこの世には亡く、執筆者の皆さん(SCM研究プロジェクト有志:ERPフォーラムからの出版とはしなかったので、このような格好になった)にも所属企業を移られた方も多い。当時の皆さんのご健闘を偲びつつ、ここに、福島さんの熱のこもった「はじめに」とともに「執筆者一覧」を紹介掲載させていただいた事をお断りする次第である。また、皆さんの新たな活躍の御様子を発信していただける縁ともなれば幸いである。
2001年9月
梅澤伊憲 記
(執筆者[SCM研究プロジェクト有志]一覧。所属および企業名は当時)
| 監修 | ||
| 編著者 | 福島美明 | 日本ビジネスクリエイト |
| コーディネーター | 種村敏之 | ERP研究推進フォーラム |
| 第一編 実践編 | ||
| 第1章 サプライチェーンマネジメントの本質 | 福島美明 | 日本ビジネスクリエイト |
| 第2章 ロジスティクスの歴史と実践に学ぶ | 吉原賢治 | Nixシステム研究所 |
| 第3章 欧米先進企業に学ぶ | 山本邦雄 | 横河電機 |
| 古和田弘樹 | 日本サン・マイクロシステムズ | |
| 第4章 日本でもはじまるSCMへの挑戦 | 種村敏之 | ERP研究推進フォーラム |
| 西垣葵 | 大阪ガス | |
| 平井茂雄 | 日本電気 | |
| 吉田正次 | 物流コンサルタント | |
| 北澤英人 | 日本ビジネスクリエイト | |
| 臼井淳 | トーマツコンサルティング | |
| 古和田弘樹 | 日本サン・マイクロシステムズ | |
| 第5章 日本型生産方式からSCMへの展開 | 福島美明 | 日本ビジネスクリエイト |
| 北澤英人 | ||
| 第6章 日本型サプライチェーン構築のポイント | 福島美明 | 日本ビジネスクリエイト |
| 第7章 SCMで日本企業を活性化させるために | 福島美明 | 日本ビジネスクリエイト |
| 第二編 理論編 | ||
| 第8章 SCMの核となる理論・手法・情報技術 | 川辺恭寛 | 日本総合研究所 |
| 竹ノ内隆 | ||
| 阿部幸裕 | 日本ビジネスクリエイト | |
| 第9章 SCMの実現手段、ERP・SCP | 今岡善次郎 | ビジネスダイナミックス研究所 |
| 大野三郎 | i2テクノロジーズ・ジャパン | |
| 江端俊昭 | マニュジスティックス・ジャパン | |
| ボビー・ボロメロ | パラゴン・ジャパン | |
| 崎田智博 | システムプラザ | |
| 石田啓一 | CRC総合研究所 | |
| 内藤勝義 | SAPジャパン | |
| 河本吉夫 | ピープルソフト・ジャパン | |
| 第10章 SCORビジネスプロセスモデル | 北風道彦 | 日本ビジネスクリエイト |
| 第11章 SCORの4分野の理解 | 大石高至 | ERP研究推進フォーラム |
| 吉原賢治 | Nixシステム研究所 | |
| 桜井勝己 | 日本電信電話 | |
| 酒井優 | テック情報システム | |
| 橋場聡 | 日本電気 | |
| 種村敏之 | ERP研究推進フォーラム | |
(はじめに)
[動き出したサプライチェーン経営]
本書が出版されるちょうど1年前(1998年2月頃)、ERP研究推進フォーラムの一組織として、SCM研究プロジェクトの体制づくりに追われていた。
読者の皆さんは、その頃SCM(サプライチェーン・マネジメント)という言葉、そしてその内容をどこまでご存知だったろうか?
「SCMは本当に重要だけど、今の知名度ではどれほどメンバーが集まってくれるのだろうか?」これが、その頃の私たちの正直な認識だった。
ふたを開けてみると、の認識はうれしい間違いだったことがすぐわかった。
・3月、SCM研究プロジェクトの紹介セミナーには、200人もの人が集まった
・4月、日本オラクル主催イベントにおける筆者の「SCMの講演」には、定員300人に対し、700人の参加があった
・SCM研究プロジェクトにも、あっという間に80人が集まった。夏には100人を超えた
流れがてきた。早くもっと拡めなくては。私たちは懸命に走った。
7月末、有明ビッグサイトに大舞台をつくった。大手SIベンダー、ERP/SCMベンダーの協力を得て、大胆にも1000人規模の「SCM提言セミナー」を開催した。アメリカのサプライチェーンカウンシルのキーマン、日本のSCM関連のオピニオンリーダーが結集した。大きな手応えを得た。
この頃から、マスコミの注目も高まった。連日、どこかの新聞や雑誌で「サプライチェーン」「SCM」といったキーワードがめにつくようになった。
[山が動いた]
9月末、筆者も日本経済新聞より『サプライチェーン経営革命』を出版することができた。この反響は大きかった。製造業はもちろん、流通、商社のトップから問合せが殺到した。
10月以降の4ヶ月間で、上場企業30社のトップとSCMの相談をさせていただいた。「山が動いた」とそう感じた。
・社長を中心とするトップ自らが、
・全社の経営改革の中核として、
・各社がほとんど同時に、
・それも大々的に、
こんな大きな動きは、今まであったろうか。
筆者の知っている範囲では、次のような状況である。
・半導体を中心とするキーデバイス関連企業がほとんど実践展開を始めた
・プリンター、FAXなどの情報機器各社もほとんど同様だ
・コンシューマプロダクツ(化粧品、トイレタリー、食品など)は、流通を中心に検討を始めている
・商社、物流などの企業が、新たな業態を求めて取り組み始めている
・ソニー、松下、三洋、シャープなどの大手電子機器メーカーが、社長方針として展開を始めた
[ますます加速するアメリカ先進企業の活動]
SCMといえば、必ず取り上げられるのがデルコンピュータである。デルコンピュータの成長の勢いはますます加速している。98年度は、売上高2兆円を超え、首位のコンパックに肉迫した。利益は圧倒的業界トップである。
サプライチェーンを支えるインターネット利用もますます加速している。アメリカの代表的ネットワークサービス企業AOL(アメリカオンライン)のクリスマス商戦でのインターネット販売は、約1ヶ月で12億ドルを超えた。インターネットによる自動車販売は20%を超え、数年後には50%を超えるといわれている。
将来40000社をネットワークする計画を持つ、アメリカ自動車業界のエクストラネットANXは、98年10月にスタートし、順調に拡大している。自由でオープンな取引がアメリカで、もちろん日本でも始まっている。
[日本企業の活性化のために]
私たちは今、情報革命の中にいる。情報革命の大きな流れをとらえ、未来に勝ち残れる企業に自らをつくり変えなくてはならない。このためにSCMは不可欠である。21世紀にかけてのこれからの数年、SCMが企業の経営革新の核となるのは間違いない。
本書は、日本企業にSCMを導入し、実践するためのガイドブックである。なお、本書は、1年間SCM研究プロジェクトで活動を共にしたメンバーによって書かれている。これからも多くの方々と知のチェーンを結び、日本企業の活性化のためにともに学び、情報発信を続けたい。
最後に、このような機会をいただき、遅れがちな原稿に対し叱咤激励、さまざまなサポートをしていただいた社団法人日本プラントメンテナンス協会の渡辺敏郎編集長に感謝したい。
1999年3月
福島美明